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背景すごいアニメ~魔道祖师(魔道祖師)1期2期

魔道祖师(魔道祖師)1期2期

1期2018年7月、全15話
2期2019年8月、全8話
制作会社 視美動画、小説原作
テンセントレビュー9.5
youtubeで配信していた頃に見ました。日本でも2020年9月から放送予定らしい。

あらすじなど

dic.pixiv.net

1話感想

今までの中国産アニメにはない丁寧な作画と、素晴らしい3Dの背景はとてもいい。
しかし、素人目に見ても不要な場面があったり、逆に原作にある入れるべきシーン*1がカットされていたり、少々絵コンテと脚本に疑問が残る1話だった。

3Dも使った美しい背景と丁寧な作画

手描きにしか見えない3Dの背景はとても素晴らしい。この背景は3Dなのかと驚くことがとても多かった。
背景目当てにアニメを見て損はない。
作画も丁寧でアクションシーンもいい感じに頑張っていて好感が持てる。

悪い意味での中国2Dアニメらしさ

少しずつなのだけれども後半になるにつれて脚本と絵コンテが昔ながらの中国2Dアニメになっていく。1話2話にあったワクワク感はどんどん萎んでいく。
1話と23話比べると分かりやすい。23話は何だかふわふわしている悪い意味での中国2Dアニメらしさが漂っている。
脚本から何も考えないで絵コンテを切っているのか、セリフで説明するシーンがどんどん増えていった。アニメなのだからもう少し絵で説明するべき。
キャラデザの美形キャラの描き分けがイマイチで、人物が増えていくと誰が誰なのかどんどん分からなくなっていった。デザイン自体はアニメーターの力量に関係なく見栄えのする良いデザインなだけに残念。

総評

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背景だけは必見なので1話だけでも見るべき。「お前3Dだったのかよ……」とつぶやけるのはこのアニメだけ。
中身についてはジャンルに興味がないと脚本と絵コンテのふわふわ具合とかキャラの区別付かなくなるとかで少々辛くなってくると思う。
日本のアニメでもよくある、ファンは喜んでいるしレビューは高得点なので試しに見てみたけど、原作知らない勢には???なアニメという感じでした。

登場人物

魔道祖师 (まどうそし)とは【ピクシブ百科事典】

同人について

魔道祖師は2018年~2019年で中国の同人界で一番荒れたジャンルである。
日本でもよくあるキッズ*2が増えたために日本と似たような荒れ方をし、さらに中国らしく権謀術数に長けたヤベー奴が出現したりと中国の同人界の光と闇、魑魅魍魎、内憂外患などを見せつけてくれた。
簡単に中国の同人の日本との違いを説明すると、作者やアニメ制作会社などいわゆる『公式』との距離が近く*3、気軽にファンと交流する作者もいたり、ファンコミュニティの管理をスタッフだけでなく公式から依頼されたファンがしている場合もある。
日本でいえばサッカーのサポーターや宝塚のファンと似たような感じで、ファンのマナーは作品だけでなく作者の品格や社会的な態度とみなされるため、公式側ではファンの自浄作用だけを期待せず、場合によっては作者本人からの注意などが発布されることもある。*4
魔道祖師の場合、アニメ化後に急激に質の悪いキッズが増えたことや諸々のゴタゴタもあり、公式側での締め付けがうまくいかず、見るも無残に荒れてしまったのだ。そして、海外にもキッズがいる。国籍関係なくキッズを惹きつける何かがあるようだ……
しかも、実写ドラマ化されて更に荒れ、現在どうなっているかを伺おうにも、外部から見ると状況が全くつかめなくなっている。たぶん内部の人間も分かっていない。
国史で例えると五胡十六国のような感じである。

なお、中国のBL原作の作品では明確に有償での同人活動を禁止していることが多い。同人誌は無料配布のみ、グッズ制作不可はほぼ共通で、あとは作者のさじ加減による。コスプレなども公式衣装が発売され、それ以外は海賊版扱いである。*5
そのため、中国の同人イベントではどんなに流行っているBL原作作品であっても公式のスペースしか存在しない場合が多い。

*1:一言「○○に似ている」と入れればいいだけなのでカットした意味が分からない

*2:中国では『小学生』と呼ばれている

*3:アップしたイラストに公式からコメントやいいねがつく。もう慣れた。

*4:アイドルや俳優でも同じ。

*5:自作衣装はOKが多いと思う。公式衣装の出来はいい